老齢年金は何歳からもらい始めるのが得か?

1「老齢厚生年金は何歳からもらい始めるのが得か?」

年金相談を受けたとき、よくこの質問を受けます。

「年金は65歳でもらった方が得か?遅れてもらった(繰り下げた)方が得か?」

さすがに専門家でもそんなことはわかりません。

いつ亡くなるかによって、いただける老齢年金は一生涯で最終的にいくらもらえることとなるか変わります。

神様ではないのでいつ亡くなるかは誰にもわかりません。

早くいただくことを「繰り上げ支給」。

遅くいただくことを「繰り下げ支給」といいます。

早く支給を受ければ本来いただける額よりカットされ、

遅くもらえば本来いただける額に加算があります。

基本的には65歳でいただくか?繰り下げ支給するかのどちらかの選択でしょう。

なお年金は2階建てになっており繰り下げ請求は、「国民年金部分のみ繰り下げる」、

「厚生年金部分のみ繰り下げる」又は

「国民年金部分と厚生年金部分両方とも繰り下げる」のいずれかの選択も可能です。

よくこのようなアドバイスをします。例えば

(1)末期がんなどで近々亡くなってしまうことがわかっている方は繰り上げ支給手続きを検討するべきでしょう。またそれがわかったときに検討すべきでしょう。

(2)遺伝的に親族が長生きの方は繰下げすればよいし、親族が一般的に短命の場合には普通にもらった方がいいでしょう。(もちろん一概には言えませんが。)

(3)65歳未満の一定の妻がいる場合にいただける配偶者加給年金年約39万円(月32,500円)は老齢厚生年金部分を繰り下げるといただけなくなります。(妻が65歳に到達するまで支給される。)それらもふまえて老齢厚生年金部分(2階部分)の繰り下げを考えて下さい。

先ほども申しましたが基本的には65歳でいただくか?繰り下げ支給するかのどちらかの選択です。

70歳までが繰り下げ受給の範囲だったのが、2022(令和4)年4月から75歳までの繰り下げ受給できるようになることが決まりました。

また老齢年金を繰り下げしている方はいつからでも、繰り下げをやめてもらい始めることが可能です。

なお夫が亡くなると一定の妻に遺族厚生年金が支給されますが、それには繰り上げ受給、繰り下げ受給は、ほぼ関係ありません。

2 受給を開始する年齢の損益分岐点

(1)年金受給開始年齢「65歳」と「70歳」の損益分岐点は「81歳」

65歳から年金の受給を受けられる方が70歳まで繰り下げて支給を受ける場合の損益分岐点は81歳です。

つまりAさんが70歳まで年金を繰り下げ支給した場合81歳以上生きると70歳まで繰り下げてもらった方が得。81歳未満で亡くなった場合は65歳でいただいていた方が得ということです。

(2)年金受給開始年齢「65歳」と「75歳」の損益分岐点は「86歳」

65歳から年金の受給を受けられる方が75歳まで繰り下げて支給を受ける場合の損益分岐点は86歳です。

つまりAさんが75歳まで年金を繰り下げ支給した場合86歳以上生きると75歳まで繰り下げ支給した方が得。86歳未満で亡くなった場合には、75歳前にいただいていた方が得ということです。

先ほど申しましたが、年金を繰り下げしている方はいつからでも、もらい始めることが可能です。

ちなみに男性の平均寿命は現在81.47歳、女性は87.74歳です。

これもライフプランです。

3まとめ

(1)いつ亡くなるかによって、いただける老齢年金は一生涯で最終的にいくらもらえることとなるか変わります。男性の平均寿命は現在81.47歳、女性は87.74歳です。ライフプランを考え年金をいつからもらい始めるか考えましょう。

(2)繰り下げ支給手続きをした老齢年金はいつの時点からでももらい始めることが可能です。

例えば「70歳まで繰り下げを考えていたが、今67歳8カ月だけどここからいただくこととしよう。」というようにいつからでももらい始めることが可能です。この場合2年8カ月分加算されて年金が支給されることとなります。

(3)65歳ではまだ現役で働いておられる方も多いでしょう。働いて稼いでいる間は年金を受給しないことも一つの選択肢でしょう。

(4)ちなみに65歳前に受給できる「特別支給の老齢厚生年金」をいただいても65歳以後の老齢年金には影響はありませんので「特別支給の老齢厚生年金」をいただける資格のある方は受けましょう。

(5)年金は2階建てになっており繰り下げ請求は「国民年金部分のみ」「厚生年金部分のみ」又は「国民年金部分と厚生年金部分両方とも」いずれかの選択も可能です。

(3)65歳未満の一定の妻がいる場合にいただける配偶者加給年金年約39万円(月32,500円)は老齢厚生年金部分を繰り下げるといただけなくなります。(妻が65歳に到達するまで支給される。)それらもふまえて老齢厚生年金部分(2階部分)の繰り下げを考えて下さい。

わかりやすくするためにサラリーマンの夫とその妻の想定で書かせていただきました。もちろんその逆もありますことをご了承下さい。

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